相手を洗脳する文章テクニック

相手を洗脳する文章テクニック

相手を洗脳する文章テクニック

タイトルのうさんくささとは裏腹に大変良い本。ただし文章を書く基本という意味で。表題の洗脳には期待できない。筆者の文章力自体も高くない。
雑多な技術の寄せ集めである感は否めないので、私なりに整理を加えて以下にメモしておく(つまりここから先は私の覚え書きで、他人に読まれることを前提に書いていない)


人を動かすには、1.相手に合わせ、2,相手の意識を相手自身の内面に向けさせ、3.動く方向を相手に自発的に決めさせなければならない。
1.相手に合わせる
相手が「ネット企業」という言葉を使ったら、こちらも「IT企業」とは言わず「ネット企業」という言葉を使うようにする。
視覚表現、聴覚表現、残る三感による表現のうち、相手はどれを頻繁に使うかを知り、こちらも合わせる。不特定多数に向ける場合は3つをバランス良く使うか、思考に関する言葉を使う。
2.相手の意識を相手自身の内面に向けさせる
「あなた」主体で書く。
相手が思うだろう疑問や質問を先に指摘してしまう。誰にでも当てはまることを言うのも手。
オウム返しをする。相手が話した内容の「事実」「感情」「要点」「キーワード」を、自分の判断を加えずにそのまま返す。
「あなたは、食べます」のように、わざと目的語を欠落させた表現を使って相手に想像させる。
話を途中で止め、別の話を始める『ネステッドループ』という手法。
ディティールに拘った描写、会話文を使って、相手を物語の中に引き込む。
3.動く方向を相手に自発的に決めさせる
もちろん相手が自発的に決めたと思うように、こちらが誘導する手段がある。
相手が「その通りだ」「YES」と思うような内容を積み重ねていくと、相手は「YESというのがあたりまえ」と感じる空気が生まれる。
「命令」や「質問」は文中に埋め込むと相手の抵抗を生まない。「落ち着きなさい」→「あなたは落ち着いた気分になります」 「静かにしなさい」→「静かにしてくれると助かります」 「この商品を買いますか?」→「この商品のどこが気に入っているのか興味があります」
禁止する。黄色を想像するな、と言われると黄色を想像してしまう。
三者の言葉を引用すると、信頼感が高まる。
相手の心に働きかけたい内容を前提として挿入する。「買って下さい」→「買う前によく考えて下さい」 「デートしようよ」→「日曜日は海に行く? プールに行く?」
上記の方法を使う場合、「宿題を終える前に話したいことがある」「〜のあとに」「〜しながら」「はじまる」「終わる」「すでに」「まだ」のような時間に関連する言葉、「まず何から始められますか?」「最初に」「二番目に」「三番目に」「最後に」「先に」のような順序に関連する言葉、A or Bの形式、「君は努力家だって先生知ってる」「気づく」「わかる」「理解する」「注目する」のような自分の認識を示す言葉、「スポーツに意欲的に取り組んでますか?」(スポーツに取り組んでいますよね)のように副詞や形容詞を巧みに使った表現、「そして」「〜によって」「だから」「〜ながら」「AがあなたをBにする」といった別の内容との接着表現が武器になる。
みんなそうしてるよ」「全て」「いつも」「常に」「どこでも」のような普遍的数量詞、「彼は強調しない」→「彼は協調性がない」「〜的」のような名詞化によって鵜呑みにさせる。
五感を移動させて感覚を疑似体験させる。


すべてのテクニックは、相手の心に抵抗を生まないためのものなので、さりげなく行われなければならない。