権力(パワー)に翻弄されないための48の法則

権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉 (角川文庫)

権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉 (角川文庫)

権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈下〉

権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈下〉

序文より、この本がどんなものかについて。

『権力に翻弄されないための48の法則』は、歴史上のとくに傑出した戦略家(孫子クラウゼヴィッツ)、政治家(ビスマルクタレーラン)、廷臣(カスティリョーネ、グラシアン)、色事家(二ノン・ド・ランクロ、カサノヴァ)、詐欺師(「イエロー・キッド」・ウェイル)などから、含蓄のある言葉を集め、そのエッセンスを蒸留してできたものである。

法則1 主人より目立ってはならない
 事例1:ルイ十四世より目立って処刑されたフーケ
 事例2:自分の発見をメディチ家の権威付けに利用したガリレオ
 補足:素の自分が主人よりも目立つことがある。主人の寵愛を当然と考えるな*1
 例外:主人が失墜している時
法則2 友を信じすぎず、敵をうまく使え
 事例1:バシレイオスに殺されたミハエル3世
 事例2:敵を懐柔して味方に変え、味方の牙を抜いた趙匡胤
 補足:友情が壊れる時とは、こちらが親切にした時である。敵との関係は利害に基づくから壊れにくい。敵を作る必要があるときもある。ただし勝ち目のない敵に戦いを挑んではならない
 例外:汚れ仕事は親友には至らない友人に引受けさせやすい
法則3 本当の目的は隠しておけ
 陽動作戦
 事例1:二ノン・ド・ランクロの助言を無視して伯爵夫人に「好き」だと言ってしまった公爵
 事例2:オーストリアとの戦いを避けるべきだと演説した愛国者タレーラン
 補足:「自分の本心と正反対の主張をする」「誠実さをほどほどに演じる」のが有効
 煙幕作戦
 事例:イエロー・キッドの詐欺
 補足:鷹揚な態度、パターンの踏襲、平凡な態度が重要
 例外:詐欺師だという評判が生まれてしまった時はそれを率直に認めると良い。時には派手な煙幕も必要だが、長続きはしない
法則4 必要以上に多くを語るな
 事例1:口で身を滅ぼしたコリオラヌス
 事例2:黙っていることで人々を従えたルイ14世
 補足:皮肉には注意せよ
 例外:相手の警戒を解くため、自分の目的を悟らせないためには饒舌になってバカを演じるのも有効
法則5 名声は大いに便りになる――生命をかけて名声を守れ
 事例1:自分の名声を利用した諸葛孔明
 事例2:業界No1の名声を傷つけて遂には自分がNo1となったバーナム
 補足1:相手の評判を傷つけるには、疑惑を生むか相手を冷やかすと良い。ただしやりすぎに注意。特に自分の名声が既に固まっている場合は冷やかしの方がよい
 補足2:自分の名声を高めるには、確かな資質に基づく単純なものでそれを得よ。目立たないように時間をかけて下地を固めるのがコツ。既に自分のイメージに傷がついている場合は、自分のイメージを中和するイメージをもった人間と組むとよい
 例外:例外はない
法則6 ぜひとも人の注目を集めよ
 名を売るためならセンセーションやスキャンダルでもいい
 事例:奇行や時には自らを糾弾することで成功したバーナム
 補足:一度脚光をあびたなら、今度は注目を集める方法を次々変えるべき
 神秘的な雰囲気をかもしだせ
 事例:ミステリアスさで他のお上りさんと差を付けたマタ・ハリ
 例外:つくり出す謎は、あくまで楽しい、危険のないゲームに見せること。謎めいた雰囲気が詐欺師の噂に変わったり、王より目立ったりしては当然逆効果になる。
法則7 他人を自分のために働かせよ、ただし手柄は決して渡すな
 事例:才能はあったが手柄を奪われたニコラ・テスラとその逆だったエジソン
 補足:発明や創造物に自分の名を冠することは発明そのもの以上に重要。自分のために他人を働かせ、あるいは先人の労苦を利用し、その手柄を自分のものにする技を身につけるべき。
 例外:自分の手柄が盤石でない時や、目上の者がいる時には他人に手柄を分けてやるのが自分のためになる。
法則8 他人に足を運ばせよ――必要ならば餌を使え
 事例:ナポレオンに罠を仕掛け自ら破滅の道を歩ませたタレーラン
 補足:目指すべきは長期的なパワーであって、即決の勝利ではない。大抵の場合、最も有効な行動は慎重に控えて、平静を保ち、仕掛けた罠に敵をはまらせることである。パワーとは主導権を維持する能力であり、自分の打った手に他人を反応させる能力であり、敵や周囲を防戦にまわらせておく能力である。そのためには自らの感情を支配し、敵の怒りの反応を利用する
 例外:敵が充分に弱く一撃で倒せる時、放って置けば勢力が増大する時は、急襲する戦法を用いた方がよい
法則9 言葉ではなく行動によって勝て
 事例1:ムチアヌスに科学の正しさを説き殺された技術者
 事例2:ソデリーニの言葉に従ったフリをして自らの正しさを示したミケランジェロ
 補足:自分よりパワーを持った相手に対しては、自分の正しさは間接的に証明しなければならない。一般的にも、パワーを目指すとき、あるいはパワーを守ろうとするときには、つねに間接的なルートを探すべきである
 例外:人を欺くときや人に嘘を見破られた時に誤魔化すときは、ありったけの確信をこめて言葉をまくしたてるのが有効
法則10 感染を避けよ――不幸な人間や不運な人間とはつきあうな
 事例:関わる者全てを不幸にしたローラ・モンテス
 補足:自らの破壊的な行為や他人への不穏な影響力によって自ら不運や不幸を引き寄せている人がいる。そうした人を見分ける方法は、本人が周囲に与える影響をみること。逆に、自らの明るさ、快活さ、知性などで幸運をもたらす人と付き合うとよい
 例外:例外はない
法則11 他人を自分に依存させておくすべを覚えよ
 事例1:町を救って殺された傭兵たち
 事例2:国王を自分に依存させプロイセンを支配したビスマルク


法則12 意図的な正直さや寛大さで敵の武装を解け
法則13 他人に助力を求めるときは相手の利益に訴えよ。情けや感謝の念に頼ってはならない
法則14 友を装ってスパイをはたらけ
法則15 敵は完全に叩きつぶせ
法則16 姿を見せないようにして周囲の敬意と称賛を高めよ
法則17 予測不能の雰囲気をかもしだして、相手をつねにおびえさせておけ
法則18 保身のために砦を築くな――孤立は危険である
法則19 相手の性格を見極めよ――不適当な人物を攻撃するな
法則20 誰にも深く肩入れするな
法則21 だまされやすい人間を装って人をだませ――カモよりも自分を愚かに見せよ
法則22 降伏戦術を使って、弱さを力に変えよ
法則23 自分の力を結集せよ
法則24 完璧な廷臣を演じよ
法則25 新しい自分を創造せよ
法則26 自分の手を汚すな
法則27 何かを信じたがる人間の性向を利用して、盲目的な崇拝者をつくれ
法則28 大胆に行動せよ
法則29 終わりにいたるまで計画を立てよ
法則30 努力は人に見せるな
法則31 選択肢を支配せよ――自分に都合のいいカードを引かせる
法則32 幻想に訴えよ
法則33 人の摘みねじを見つけろ
法則34 自分のやりかたで王になれ――王のように振る舞えば、王のように扱ってもらえる
法則35 タイミングをはかる技術を習得せよ
法則36 手に入らないものは相手にするな。無視することが最大の復讐である
法則37 壮大なものを見せて人の目を釘づけにしろ
法則38 考えは自由でも、行動は他人にならえ
法則39 魚をつかまえるために水をかきまわせ
法則40 ただ飯を軽蔑せよ
法則41 偉大な人間の靴に足を入れるな
法則42 羊飼いを攻撃せよ、そうすれば羊は散り散りになる
法則43 相手の頭や心に働きかけよ
法則44 ミラー効果で敵を武装解除させ、あるいは激しく怒らせろ
法則45 変革の必要性を説け、ただし一度に多くを変えるな
法則46 あまり完璧に見せてはならない
法則47 狙ったところを超えて進むな、勝ったら引きどきを心得よ
法則48 かたちあるものなどない

*1:P31の利休が元農民というのは誤り