図解でわかる商法手形小切手法

図解でわかる 商法・手形小切手法 (入門の法律)

図解でわかる 商法・手形小切手法 (入門の法律)

実質的意味における商法
企業(継続的・計画的に営利行為を行う経済単位)に関する法律
会社法、手形法、小切手法、商業登記法商法施行規則会社法施行規則、会社計算規則、不正競争防止法、企業担保法、会社更生法民事再生法の企業再生分野などを含む。


商人の営業、商行為に商法は適用される
商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者。商行為は絶対的商行為、営業的商行為、付属的商行為を含む概念。


開業準備行為
判例によれば、客観的に開業準備行為と認められる場合、相手方がそれを知っていれば商行為性が認められるとする。


商業登記
商号登記の登記事項には、必ず登記することを要する絶対的登記事項と登記するかしないか自由である相対的登記事項とがある。
登記事項は、登記すれば取引の相手方は当然にその事実を知ったものとみなされる効果がある(例外あり)。
登記事項については、民法表見代理の規定は排除される。
不実の登記(現実に存在しない事実の登記)は、故意過失がある場合、取引の相手方に対し事実がないことを主張できなくなる。
商業登記簿には商号登記簿、未成年者登記簿、後見人登記簿、支配人登記簿、合名会社登記簿、合資会社登記簿、株式会社登記簿、合同会社登記簿、外国会社登記簿がある。
商号登記の申請は登記官により形式審査を受ける。


商号
商号とは、「商人が、営業上の活動において、自己を表示するために用いる名称」で、商人の営業の同一性を維持し、また取引の相手方の信用のターゲットとなる機能がある。
商法は商号の選定につき商号自由の原則(商人は氏名その他の名称をもって自己の商号とすることができ、自己の氏名に限らず広く自己の商号を定めることができる)を採用した。
ただし、「図形、記号」「会社の種類と異なる文字」「不正な目的で他人の商号と紛らわしい商号を使用すること」は禁止される。
会社は数個の商号を用いることはできない。個人は営業の数だけ商号を使用できる。
営業とともにするか、営業を廃止する場合に限り商号は譲渡できる。



名板貸し
名板貸しとは、他人に自己の商号を使用して営業することを許すこと。
商法は、名板貸しを許諾した商人は、誤認して取引をした者に対して、取引によって生じた債務を連帯して弁済しなければならないとした。
ただし、相手が悪意であった場合や名板貸し人に重大な過失があった場合はその限りではない。


支配人
支配人とは、営業主である商人によって選ばれ、その営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有する者のこと。
支配人の選任やその代理権の消滅は登記事項。
本店または支店の営業責任者らしき名称を付した場合は、本当は支配人でなくても、相手方が善意である限り支配人と同様に扱われる。これを表見支配人と呼ぶ。
支配人は営業主の許可がなければ、①自らのために営業をしたり②自己または第三者のために営業主と同様の営業を行ったり③ほかの商人の使用人となることはできない。また、②において支配人や第三者が得た利益は営業主に生じた損害と推定される。


営業譲渡
最高裁によると、営業譲渡とは「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む)の全部又は重要な一部を譲渡し、これによって法律上当然に競売避止義務を負うもの」。
競売避止義務とは、営業譲渡人が同市町村および隣接市町村において20年間同一の営業ができないとする義務をいう。
この年数を特約で延長するときは30年までであり、特約で排除された場合でも、譲渡人は、不正の目的で、同一営業を行うことはできない。
営業譲渡は、具体的な移転対象を定めなければ、譲渡人の営業上の債務も譲渡人が引き継いだと推定される。
法律上、営業譲受人が譲渡人の営業上の債務を引き継いだとされる場合がある。例えば商号続用(譲受人が譲渡人の商号を引き続いて使用する場合)がそれで、譲受人も譲渡人も営業上の債務の責任を負う。
営業続用について、営業の現物出資の場合やゴルフクラブの名称の続用の場合も商法17条1項を類推適用する。
商号が続用された場合であっても、営業譲渡後遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済しない旨を登記した場合は譲受人は責任を負わない。また、第三者に譲渡人および譲受人から、債務を引き継がない旨の通知をした場合は、その第三者について同様となる。逆に、商号が続用されない場合でも、債務を引き継ぐ旨の広告をした場合は、譲受人は、譲渡人の債務の責任を負う。


商業帳簿
商業帳簿とは、会計帳簿及び貸借対照表である。
商人は、帳簿閉鎖のときから10年間、商業帳簿と営業上の重要資料を保存しなければならない。
また、訴訟において裁判所は商人に商業帳簿の提出を銘じることができる。


代理商
代理商とは特定の商人のためにその営業上の取引の代理または媒介をする者で、その商人の使用人ではない者のことをいう。
代理商には締約代理商(特定の商人の代理人となる者)と媒介代理商(代理ではなく媒介をする者)とがいる。媒介代理商は代理商の名が契約に出ることはない。
代理商は特段の定めがない場合において、事前予告期間2ヶ月で解除ができる。
代理商は本人から手数料の支払いがなされるまで本人のために占有しているものを留置できる権利をもち、代理または媒介をしたときに遅滞なく本人に通知する義務を負う。また、本人の許可がなければ、自己または第三者のため本人と同様の営業はできない。
媒介代理商は代理権がないが、飼主が売り主に通知して損害賠償等を行うときの通知を受ける権限を持つ。