近頃の若者はなぜダメなのか

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)

実際に筆者が1000人もの若者と触れ合いその実情を描いた本。その点は高く評価できるし、単なる若者批判本とは一線を画している。
しかし、本のタイトルに興味を惹かれるような世代にとっては鮮烈な内容なのかもしれないが、著者が言うところの「若者」に当てはまる私としては、あまり真新しいことが書いてあるわけではないなぁ、という印象。
携帯を中心としたネットワークを駆使してどんどん人脈を広げていく「リア充」と、逆にどんどんネットワークを狭めて行って、例え大都市の大学に入学したとしても地元の友人との付き合いしかないフリーター、その究極とも言えるニートを対比的に取り上げている。
ところで、こういう若者像は現代特有のものなのだろうか?
昔を知らないので断言はできないが、街に出たら必ず知人に出会ってしまうような人気者や、ずっと地元のコミュニティに引き籠もっている奥手な人は、いつの時代にもいるように思う。
1000人に出会ったと言っても、挙げられている例が「若者」としても特殊すぎて、どうもセンセーショナルを意識しすぎた内容という印象が拭えない。
余談ながら。筆者は博報堂に勤めている方だが、平均年収が1400万円近い企業にいながら「妻が専業主婦なので生活が苦しい」と書くのはどうかと思う。