六法で身につける 荘司雅彦の法律力養成講座
- 作者: 荘司雅彦
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2009/01/24
- メディア: 単行本
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法律学習の方法
憲法
- 憲法は、それに違反する全ての法律を無効にできる「最高法規」
- 憲法は民間人同士の争いに直接は適用されない
- 誰にも迷惑をかけない限り、人権は無制限に保証される
- 表現の自由への規制は厳しくチェックされるが、経済的自由への規制は比較的緩いチェックとなる
刑法
- 要件があるから効果が生まれる
- 犯罪が成立するためには「実行行為」「結果」「因果関係」の3つが必要
- その行為を犯罪として処罰する法律がなければ、その行為を処罰することができないという「罪刑法定主義」は、1.予め法律で悪いことを定めておかないと人権侵害という悲惨な結果を招く2.事前に法律で悪いことを定めてあるからこそ、我々は「法益」を守ることができるという二点を理由で存在する
- 「構成要件」「違法性」「責任」がいずれも存在することで犯罪の成立となる
- 「善意」=事情を知らないこと 「悪意」=事情を知っていること
- 民法は大ざっぱに言って、権利の主体について述べた「総則」、主体と客体との間に存在する権利である「物権」、権利の主体間に生まれる権利である「債権」に分かれる
- 代理人の法律行為の効果は本人に及ぶ
- 物権は法律に規定したものだけが認められる。これは取引の安全を図るためである
- 「債権」は「契約」「不当利得」「事務管理」「不法行為」から生まれる
- 「不当利得」は、概ね契約解除の後始末に使われる
- 「不法行為」は無関係だった人間同士にも成立することがある
- 民法は社会常識に合致したバランスのとれた結論が最も求められる分野
商法
- 商法は、一般に「商法総則・商行為」「会社法」「有価証券法(手形法・小切手法)」を指す意味で使われる。これら以外にも商法の規定はある。
- 日常生活(民法の範囲)に比べて、ビジネスシーン(商法の範囲)では「取引の安全」が重視される。手形法や小切手法はその典型で、約束手形は記載された要件が整っていれば、有効に転々と流通する
- 会社法は商法から独立して存在する
- 会社は基本的には「株主総会」「取締役会、代表取締役」「監査役(会)」から成る
- 「株主総会」は会社の最高意思決定機関であり、株主は間接有限責任を負う
- 株主を保護するために「資本金の額」はあまり重要ではなくなってきたため、「会計監査人」のチェックが強まる方向性にある
- 「株主総会」で決められる重要事項を除いて、つまり経営事項の大半は「取締役会」で決定される。「取締役会」を構成する人員のうち、業務執行権と代表権があるのは「代表取締役」だけである。業務執行権とは、自ら判断して会社を代表し、業務執行を行う権利。代表権とは、原則として会社に関するすべての代理権
- 「取締役」(『代表取締役』も含む)は、会社に対して、忠実に業務を果たす義務がある
- 「取締役」を監視するのが「監査役」「監査役会」である
- 「有価証券」とは、証券に財産に関する権利がくっついていて、その権利が有価証券が作成されるときに発生、有価証券の譲渡をもって権利が移転、権利行使するときに有価証券が必要、の三つのうち、全部もしくはいずれかにあてはまるもの
- 手形は様式さえ整っていれば所持人を簡単に保護できる(動的安全の趣旨)
- 小切手は手形とちがって期間が短く、受取人がすぐ銀行に持っていって換金することを想定した一種の「現金代替物」
- 名板貸しをすると貸した相手に対し連帯責任を負う
- 商法はどんどん改正されるので、最新の六法の確認を怠らずに!
- 訴訟法とは、裁判所で裁判を行うときのルールを定めた法律
- 刑事訴訟法と民事訴訟法は「真実発見」を究極の目的としているものではない
- 刑事訴訟法の最大の理念は「推定無罪の原則」
- 任意捜査の原則があるので、現行犯でない限り、令状がなければ身柄拘束も家宅捜索も拒むことが出来る
- 違法行為によって得た証拠は無効
- 被疑者を起訴できるのは検察だけであり、これを国家起訴独占主義という
- 判決は裁判官の心象(原文ママ)による
- 裁判は三審制だが、第二審に不服申し立てすることを「控訴」、最高裁に不服申し立てをすることを「上告」という
- 刑事訴訟は第一審が勝負で、上に行くほどひっくり返すのが困難
民事訴訟法
- 民事訴訟法は「お上」と「国民」との間を規律した法律
- 「処分権主義」により、起訴を提起するか否か、訴えの内容、訴訟の終了は当事者が自由に決められる。
- 実態法の権利を基準にしたものが「訴訟物」
- 「弁論主義」により、1.裁判所は、当事者の主張しない事実を判決の起訴として、採用してはならない2.裁判所は、当事者に争いのない事実をそのまま判決の起訴として採用しなければならない3.争いのある事実については、必ず当事者の申請した証拠に基づいて認定しなければならない
- 「要件事実」とは、法律の要件に該当する事実
- 主張・立証責任の分配に注意
- 民事訴訟法は、刑事訴訟法と異なり「続審」という制度を採っている。これは前の審判の続きを行うというもの。故に前の審判が覆ることも多い
- 大抵は裁判に至らず「和解」で解決される
つまり、それほど水準は高くないし、記述が正確でもない。
「間違いをおそれずに分かり易く書いた」ことにこの本の意義はあると思う。
P31に誤字。《レナード・バーンスタインの名著『リスク』》と書かれているが、レナード・バーンスタインは作曲家である。
ピーター・バーンスタインの間違いであろう。