反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
- 作者: 荘司雅彦
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2008/06/19
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 94回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
基本的には「相手の記憶違いを認めさせる」ことを目指すべきだと述べている。
この方の本は、
筆者のウェルマンは原題で「Art」という言葉を用いている点です。「Technique」ではなく。
これは、とりもなおさずウェルマンをはじめとするアメリカの法廷弁護士が、反対尋問を一種の「芸術」だと考えていたことを示しています。
といった、知的射程距離の短さに嘆息する表現が多く、どうも書き散らしている印象は拭えない。
しかし、それは裏を返せば割り切って情報を仕入れるためだけに読める、読みやすい本だとも言えるだろう。
以下、個人的に参考になった技術をメモする。
- 話し方が単調な場合、早口の場合は嘘を吐いている。
- 聞かれてもいないことを話す場合はそこに真実が隠れている。
- 相手の予期しない反応で驚かしたり、相づちを打たずにジッと目を見つめることで相手にカマをかけることができる
- 相手の記憶していることを全て話させ、次に相手の記憶の一部に話を戻してみる。特に相手が理路整然と話す場合に効果的(相手が事前に用意された筋書きをなぞっている可能性があるため)
- イエス、イエスで囲い込む
- 女性と一対一の時には嘘を暴かない方が賢明
- 相手から受けた説明も後で検討してみる
- 一つの点で攻め続けない
- 相手に逃げ道を残して自分の利益を確保する。または損害を最小限に食い止める
- 情報に非対称性がある場合は、後で別の専門家に訊くなどしておく
- 常に証拠の裏付けを求めていく
- 曖昧な表現で「自分は真実を知っている」とアピールするハッタリ作戦
(2012年5月11日追記)
今回読んで見て重要だと思ったこと
- 想定できるあらゆる逃げ道を塞いでから決定的な証拠を突きつける(勘違いでした、とは言わせない)
- 「望んでいない答えを引き出すフリをする」質問で質問者が本当に望んでいる答えを引き出すこともできる。但し、然るべき布石の後で使う(相手が望んでいる答えを既に言っている場合など)
- ビジネスの場合、相手の嘘を追求するよりもコチラの被害を最小限に留めることが有効
- 相手は自分が本当のことを言っていると思っている場合が多い。そこで、客観的な情報を小出しにして、相手自身に思い違いだと気づかせることが大切。
- 相手が嘘を吐いていると断定するのは不自然極まりないとき
- 嘘のサイン「目の動きに落ち着きがない」「指先を震わせたり動かしたり」「手が内側に縮こまる」「話し方が単調・早口になる」「聞かれてもいないことを先走って話す」
- 嘘に対しては、ハッタリz(具体的なことを言わない)を使ったり、話を広げて突然元の部分に戻ったり(理路整然とした説明に対して有効)、イエスイエスで囲い込んだり、わざと相槌を打たずに目を見て聞く手が有効
- 女性相手に1対1の交渉は避ける
- 専門家相手には、相手の属性についてや今回の具体的な話についてなど、相手の土俵でない場所で勝負する。また、謙虚さを忘れてはならない。
- 専門家を呼ぶときは必要があるときに、双方折半の費用で行うと良い
- 法廷では①客観的事実と相手の主張する事実との違い②相手の主張する事実同士の違い という優先順位で指摘する。
- 余分なことには真実が多い