影武者徳川家康

影武者徳川家康 1 (トクマコミックス)

影武者徳川家康 1 (トクマコミックス)

こんな作品を少年誌で1年も連載したかと思うと驚きである。いや、個人的にはつまらなくはなかったのだが。
続編となる左近よりも更に少年誌らしさがなく、ひたすらオッサンの権謀術数の話。しかも女がどうだの裏切りがどうだのともの凄く「小粒」な問題ばかりが扱われており、軍記物としての華もない。これを小学生が読んで「面白い」と思うことは殆どあり得ないのではないか。
史実を知らないと、その解釈の面白さは解らないかもしれない。
反面、例えば本多忠勝本多正信を嫌っていたという話など、明らかに無視された史実も多く、純粋な「正しい歴史」を求めるタイプにとっては苛立ちを覚える可能性もある。
その辺の割り切りが必要な物語である。


原作ではなくこの漫画特有の欠点であるが、あまりに中途半端なところで打ち切られているのもマイナス。
全体として、歴史を知っていれば決して退屈な漫画ではないのだが、エンタメとしてはやはり花の慶次に劣るといった印象。