殷周伝説 第1巻

この時代の話だと封神演義を思い出すが、この漫画にも哪吒などが登場しており、果たして「歴史」として語られている話を元にしたのか、封神演義を元にしたのか、両者の要素を採り入れたのかよく分からない漫画だ。
殷の紂王は

帝辛は美貌を持ち、弁舌に優れ、頭の回転が速く、力は猛獣を殺すほど強かった。それゆえ臣下が馬鹿に見えて仕方なく、諫言を受けても得意の弁舌で煙に巻いてしまった。帝辛の増長はつのり、神への祭祀をおろそかにし、重税をかけて天下の宝物を自らの物にし、尤渾や費仲と言った佞臣を重用し、妲己と言う愛妾に溺れ、日夜宴会を開いて乱交にふけった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E8%BE%9B

とあるので結構自業自得ではあるのだが、それにしたってこれだけ悲惨な状況に至るのが女神の美しさに惹かれてちょっかいを出したせいってのは、オイオイ女神様狭量過ぎないか? という気もする。まあ、神ってのは基本的にそんな存在かもしれないが。
この巻は基本的にだんだんと狂っていく紂王の残虐さに終始しているが、時々「もしかしたらこのひどい状況がなんとかなるかもしれない」という希望を交えつつ、結局妲己や奸臣たちによってその希望が無残にも踏みにじられるという構図がドラマティックである。