オタク成金

アフタヌーン新書 005 オタク成金

アフタヌーン新書 005 オタク成金

じつはこの人の作品を殆ど知らないんだけど(笑)、イメージに反して徹底した商業主義、業界人指向だねぇ。ただ、彼は自分で生み出そうとする気概と愛があるし、他者の人生を否定しないようなネアカさがある。そこが自分では何も新しいものを生み出さないし、オタク文化に対する愛がまるでないし、それどころかオタクを否定して悦に入ってるネクラ丸出しの村上隆との大きな違いかな
荒川稔久や川崎ヒロユキ(I love you.をあんたなんて大嫌いと訳した)には勝てない!
・①魅力的なシーン作り→②魅力的なシーンを体現するキャラ作り→③キャラを動かすストーリー作り→④味付けとしての設定や仕掛け の順番。④はあくまでおまけ、これだけで戦おうと思うな!
・オタクはお気に入りの物語を自分流に解釈して、サイドストーリーを生み出すことに楽しみを見いだす生き物。あかほりはなんと自作でそれをやった
あかほりは累計2200万部売った
・豪遊は人脈作りの意味がある
・メディアミックスは結束が強ければ強いほど、その頂点であるアニメが終わった瞬間終わった感が出ちゃう
・第二期あかほりは『らいむいろ戦奇譚』(エロゲ→アニメの流れに反してアニメ→エロゲをやった)、『マウス』(従来あかほり路線の徹底)『かしまし』(新あかほり路線)。この中ではかしましが比較的ヒットした
あのね商法は現場でいきなり1話減らすことになった際の苦肉の策。自分のせいにしたら美味しかった
・サービス精神こそが売れるための精神
・"なによYさん、前回、一番初めに姿見せなくなったのに、次が当たったら戻ってくるんだから〜!""ええ、ですから今回はいの一番に駆けつけました!" ← 機をみるに敏な人だな
・07年春先に講談社編集のT丸氏に見て貰ったところ「評論家目線」になってしまっていた
・サービスとは"ジゴロの心意気"
・口の悪い編集は作品を良くしようという心意気がある。後で比較的出世することも多いし!
・編集は文句を言うけどよく分かってなかったりする。自分から提案していかねば!
・深夜アニメは上位3つくらいしかペイしない。宣伝効果もない
・新しい血を入れて人を惹き付けろ! ガロ系で文芸を混ぜた漫画のように!
・多くの作家は変われないから消えていく
あかほりが成功したメディアミックスにも新たなやり方があると思うが、そのためには業界全体を見渡せる人が必要ではないか?


2013年6月6日追記
この本に対するこの批評が鋭いと思った。 → http://www2e.biglobe.ne.jp/ichise/d/2009/0514.html