原稿用紙10枚を書く力

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

文章を書くときには、全体的な構造、急所(起承転結ならば『転』)となる部分の二つを意識するとよい、といった、具体的なアドバイスがちりばめられている。
しかし、この本の本質は、おそらくそうした技術論にはない。この本の美味しいところは、文章力が付いていくという実感はどういうものか、文章を書くことでどんな世界が広がっていくか、そうした生の体験について書かれているところにある。
この本も『大人のための文章法』同様、文章を書く上での技術論というよりは、啓発的な内容と言えるだろう。ただし、この本は、どちらかというと論文やレポートを重視した『大人のための文章法』に比べて、文学的な内容にウエイトを置いている。
もちろん、この本にも斉藤考さん特有の態度やクセがバッチリにじみ出ているので、我慢できない方は避けた方が良いかもしれない。